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闘議(とうぎ)

沈まぬ太陽はない、だが、再び昇らぬ太陽もない

u-spirit
2008.02.14
「沈まぬ太陽はない、だが、再び昇らぬ太陽もない」

3年以上沈んでいた太陽が、今再び、激しく躍動し閃光を放ち光り輝いた。舞台も違い、暫定ではあるものの、UFCヘビー級のチャンピオンベルトを高々と掲げ、更なる高み”統一王座”を呼びかけた。

完全に負け試合だった。2m超の巨人の前で柔術マジシャンは小さく見えた。ティム・シルビアに対応する為にウェイトは絞らず、自身、最重量で挑んだ試合は、動けず、打てず、転がせずとノゲイラらしくない内容で、時折、シルビアの巨漢パンチをモロに喰らいながら、無情にラウンドだけが過ぎて行く。

如何ともし難い体格差か…半ば諦めていた時、テイクダウンからスイープ、そしてサイドから顔を跨いで罠をはり、まんまと立ち上がろうとしたティム・シルビアに電光石火のフロントチョーク。鮮やか過ぎて観客は呆気にとられる。振り返ってみればPRIDEでも再三、大逆転劇を魅せてくれていたミノタウロ。彼が最も優れていたのは、マジシャンと呼ばれる柔術テクニック以上に、メンタル面とフィジカル面の群を抜いた”強靭さ”だった事を再認させられる。

確かにベルトを奪取したものの、前回のヒース・ヒーリング戦と同様、ノゲイラにとって不甲斐無い試合内容だった。オクタゴンにアジャストしきれていないと指摘されていた点も、殆ど改善が見られなかった。

ノゲイラと共にPRIDEで一時代を築いたヴァンダレイ・シウバも、台頭しつつあったマウリシオ・ショーグンも、PRIDEから移籍した選手が、金網内で惜敗する姿を一体、何試合、観て来ただろう。あんなにPRIDEのリングで輝いていた選手たちの度重なる敗戦、そして、辛うじて勝利できたノゲイラの苦戦に、UFCというオクタゴンに潜む穴を考えさせられる。

総合の現役選手曰く、一番大きく違うのはリングと金網の広さの違い、そして、下に敷かれたマットの柔らかさの違い、空間が同じ様で全くの別物。言葉や理論では理解できない。慣れるには多少の時間が必要である。と聞いた。正直、素人の僕にはピンと来ないが、これだけ、元PRIDE選手の苦戦を目の当たりにすれば、道理が通る。

ただ、今はミノタウロの勝利を祝福したいし、先日、他界された百瀬氏も、ご存命であれば大そう喜んでいたに違いない。

「柔よく剛を制す」

武道者がアメリカンサイズの巨漢ヤンキーを締め上げタップアウトを奪うシーンを僕は待ちわびていた。そして、練習の鬼であるノゲイラなら、統一王座戦に向けて、必ず欠点は克服してくる。今までも、そうだった。心配はあまりしていない。だけど、こんな素晴らしい試合が、総体的に殴り合いだけを好む風潮のアメリカ人しかLIVEで楽しめない現状が恨めしい。
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