闘議(とうぎ)It'sTIME!! -120226_UFC144 Japan- |
u-spirit 2012.03.01 |
11年ぶりに日本で開催されたUFC144は、全米のゴールデンタイム放映に合わせた結果、早朝9時30分開始となった。以前のPRIDEや大晦日興行と比較して事前のCMも番宣も少なく、ネットでは「チケット販売苦戦」とも報じられていた。ところが僕の予測に反して、到着した聖地は人で溢れかえっていった。それどころか近年見なくなっていた光景にいくつも遭遇する。
「チケットゆずってください!」のボードを持った若者、大会・選手のオフィシャルウェアを纏って奇声を上げる外国人の多さ、グッズ売り場の長蛇の列、近隣駐車場には各地の他府県ナンバー。
これまで、こんな悪条件の格闘技イベントなどあっただろうか?朝早い上に東京マラソンと同日開催、交通も宿泊もいつもより不便だったに違いない。それでもファンは日本全国から集まった。皆、それだけメジャー大会に飢えていたんだ。”あの頃の興奮”をもう一度体感したくてウズウズしていたんだ。もしかしたら、あのビッグウェーブが再来するかもしれない!と開始前は少し興奮気味に観戦していたが、大会終了後になると全ての面において格差を痛感し、その厳しい現実に打ちのめされた。
現在、格闘技世界最高峰とされるUFCはブランク明けの日本人には余りに眩し過ぎた。そのまばゆいばかりのケージから家路へと辿り着くまで僕は何度も考えた。なぜ、あんなに水をあけられてしまったのだろうか?なぜ、日本でメジャー大会は衰退、消失してしまったのだろうか?
それは、これまでイニシアティブを選手ではなく運営者やテレビ局が過剰に握っていたことにある。そこから実力主義ではなく人気主義という理論を持ち込まれて、中立なコミッショナーもなくブッキングにも理不尽や不平等なイレギュラーが生じた。また義理人情や浪花節で納得させられ、最後には契約事項さえも履行されず、選手はギャラ未払いという状態に陥り泣き寝入りとなった。そんな運営サイドが発信する内容を鵜呑みにし、歓喜していたファンも引っ括めて、言わば日本のメジャー格闘技全体が虚構や幻影に踊らされていただけなのかもしれない。
例えば格闘技のメジャー大会をいち企業として見た時、ビジョンもなく、世界の流れに対応もせず、平等性や社会性を欠き、安月給や未払いが横行し、自己都合のみで闇雲に経営する会社ならば世間では完全にブラック企業と認定されてしまう。当然、優秀な人材など集まらないし、事業継続なんて出来やしない。今思えば、この惨状は予測された必然だったと言える。
そもそもいかなる競技においても、競技人口増加とファンが拡充されれば母国という先駆者が先頭を走り続ける事は容易ではなくなる。サッカーの母国イングランド、野球の母国アメリカも世界中に追い抜かれて、今や強豪国の中の一国でしかない。けど、追い抜かれたなら取り返せばいい。あの頃、格闘技に魅了された選手とファンだけは確実に日本中に根付き、今も残存している事実を今回、UFC運営陣に認めさせた。付け加えれば日本が起こした総合格闘技ムーブメントは、単純明快なブルファイト好きだった欧米ファンたちに継承され、わざわざ渡航するほど格闘技ヲタク化するまでに至っていた。
だからこそ、我々が見てきた直線的な2Dのリングでの戦法は通用しない。オールドスタンダードだと認めよう。第三者であるレフェリーが介入してドントムーブなんて、戦場ではありえないんだ。3Dで立体的な空間を掌握し、変幻自在でタフに動けるUFCファイター以上にコンプリートファイターになれば最強の称号は必ず得られる。今は無理でも希望は充分にある。我々は歩を緩めただけで止めた訳ではないのだから。近い将来、きっと兵が出てくる、理屈抜きの強さを備えアメリカを驚かす日本人選手が。
It's TIME!! 刻は来た!!これからもUFCへ挑む日本人選手と共に。
闘議(とうぎ)2012.02.26 UFC144 Japan 観戦記 |
u-spirit 2012.03.01 |
UFC144観戦、フリーペーパー【カクシンハンプレス第8号】の配布もあって格闘技観戦史上、最も早いAM8:30に会場入という地獄。十数年振りのUFCにテンション高めでさいたまSAに到着し、フリーペーパー配布開始。意外にもドンドンと受け取って頂け、なんと5分で配布終了。グッズ売り場は近年稀に見る長蛇の列、それを横目に見ながら群集に埋もれての混雑入場なんて久々の感覚。
第1試合 フェザー級 5分3R
●ヂャン・ティエカン
○田村一聖(KRAZY BEE)
2R 0'33" KO (右フック)
田村、見事なり!と、この試合を見届けて食料買出しに行くも大行列地獄で結局、第2、第3試合見れず。ロッテリア前にて45分も待たされていた間、列の前後は白人の中年女性。ふと周囲を見渡すと普段の格闘技会場より外国人率が異常に高く、逆に格闘技とは無縁のお連れ様、所謂、お色気系の女性が少ないことに気付く。
第2試合 バンタム級 5分3R
●水垣偉弥(シューティングジム八景)
○クリス・カリアーゾ
判定0-3 (28-29/28-29/28-29)
第3試合 ミドル級 5分3R
○福田 力(GRABAKA)
●スティーブ・キャントウェル
判定3-0 (29-28/30-27/30-27)
第4試合 バンタム級 5分3R
●山本“KID”徳郁(KRAZY BEE)
○ヴァウアン・リー
1R 4'29" 腕ひしぎ十字固め
食料調達から間一髪間に合った。KID、調子良さそうでパンチをヒットさせてグラついた相手に詰めるも焦りすぎて仕留め損ねる。リーはボディーがガラ空きだったのに・・・。で、持ち直したリーのパンチにグラついたKIDは、苦し紛れにクリンチ気味のタックルが無防備過ぎて下からロックされて三角から素早くアームバーを極められ人生初のタップアウト。金網という鬼門を打ち破れず4連敗となる。
第5試合 ライト級 5分3R
○五味隆典(久我山ラスカルジム)
●光岡映二(フリー)
2R 2'21" TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
開始早々から光岡の右フックが的確に五味を捉える。五味、動きが硬い。五味の放ったボディーに光岡の右フックがカウンターでヒットし倒れた五味を光岡が三角で仕留めに行くもホーンでラウンド終了。2R、開き直った五味が足を止め打ち合い光岡も応戦、左右のパンチと膝を有効に使い五味はラッシュをかける。最後は光岡が亀の子状態でレフリーに止められて五味の逆転勝利。が、マイクを横取りしてのいらんアピール。メインイベントの二人、同階級のエドガーとヘンダーソンに追い付くとは言っていたが、この試合内容で追い付けるのか疑問。
第6試合 ライト級 5分3R
○アンソニー・ペティス
●ジョー・ローゾン
1R 1'21" KO (左ハイキック)
ペティスの見事な左ハイ一閃。まるで往年のミルコの試合の様だった。
第7試合 フェザー級 5分3R
○日沖 発(ALIVE)
●バート・パラゼウスキー
判定3-0 (30-27/30-27/29-28)
相手を圧倒していた日沖は前戦とは違い3−0のフルマークで完璧な勝利だった。修斗の優等生は日の丸を背負ってUFC2連勝。試合後、ジョー・ローガンのタイトル挑戦への質問にもまだ自分には改善点があると謙虚に対応する姿に米国人が好む日本人像かなと。しかし、これでランキング2位となったらしく、フェザー級世界最強の王ジョゼ・アルドへの挑戦も現実的となってきた。
第8試合 ミドル級 5分3R
●岡見勇信(和術慧舟會東京道場)
○ティム・ボーシュ [Tim Boetsch]
3R 0'54" TKO (レフェリーストップ:パンチ連打)
5年程前、以前のBlog内でUFCで孤軍奮闘する岡見の事を書いた。あの頃、ほとんどの人が彼を知らなかったが、この日は期待感に包まれた会場の歓声を聞いて熱いものが込み上げてきた。岡見はオクタゴンでの攻め、回避を完全に熟知しており試合巧者であった。しかし、誰もが勝利を確信した最終Rにブーシュは玉砕覚悟でブルファイト。頭部を押さえ込んで腰が入ってないはずのアッパー連打で岡見は崩れ落ちて逆転負け。技術とかそんなものじゃない、理屈抜きで出鱈目な攻撃、あえて言うなら、欧米人特有の骨格差から来る筋量差に負けたとしか言えない。
第9試合 ウェルター級 5分3R
●秋山成勲(A-TeAm)
○ジェイク・シールズ
判定0-3 (27-30/27-30/27-30)
なぜ、蔑むのだろう。なぜ、いつまでも詰るのだろう。秋山を応援する気が無いなら無いでもいい、日本人はもっと懐の深い人種だと思っていた。いつからこんなに了見の狭い卑しい人種となったのだ、下品極まりない。けど、セクシーヤマは・・・無理があるな。カウンターで決めた大外刈りに秋山の真骨頂をみたがウェルター転向も4連敗ではリリースか・・・。
第10試合 ヘビー級 5分3R
○マーク・ハント
●シーク・コンゴ
1R 2'11" TKO (レフェリーストップ:右フック)
多くの人のUFCのイメージはこの様な大味な試合でしょう。どうも中軽量級に押され気味で本来、米国人が好きな神の階級であるヘビー級がどうも盛り上がらない。
第11試合 ライトヘビー級 5分3R
●クイントン・“ランペイジ”・ジャクソン
○ライアン・ベイダー
判定0-3 (27-30/27-30/27-30)
日本凱旋試合となるランペイジは試合前、日本ファンに恩返しがしたいと口にし、PRIDEのメインテーマを背に入場。会場は爆発的に盛り上がるが、調整不足で精彩を欠き動きの鈍いランペイジはベイダーに全く歯が立たず完敗で試合後マットに大の字で天を仰ぐ。
第12試合 メインイベント UFCライト級タイトルマッチ 5分5R
●フランク・エドガー(王者)
○ベンソン・ヘンダーソン(挑戦者)
判定0-3 (46-49/47-48/46-49)
※ヘンダーソンが新王者に
この試合こそが正に最先端MMAだった。二人の動きは軽快で無尽蔵、破壊力のある打撃と鉄壁のガードを兼ね備え、技術も戦術も多彩。まるで格闘技ゲームキャラの如く誰かがコントローラーでコマンドを入力しているのではないか?と錯覚してしまう程、常人離れしたコンプリートファイター対決であった。正直、今まで僕自身も日本人選手を欲目で擁護していたが、ライブで観戦し改めて日本格闘技界とのレベル差という悲しい現実を受け入れざるを得ないと猛省す。
ここ数年間、日本の選手もファンも「PRIDE」という大きな亡霊をいつまでも追い求め、その面影を見つけては回顧録や外伝を綴り、余韻に浸り、過去の栄光を懐かしんで現実逃避を繰り返したまま今日も会場に集ってしまった。しかし、僕らの見ていた総合格闘技は跡形もなく消え去りMMAというステージへ劇的に進化を遂げていた。もっと早く気付くべきだった。御家芸という自負にあぐらをかいていては、この先、何十年あっても届かない。今のUFCは間違いなく日本の何歩も先、全く違う次元を歩んでいる。
第1試合 フェザー級 5分3R
●ヂャン・ティエカン
○田村一聖(KRAZY BEE)
2R 0'33" KO (右フック)
田村、見事なり!と、この試合を見届けて食料買出しに行くも大行列地獄で結局、第2、第3試合見れず。ロッテリア前にて45分も待たされていた間、列の前後は白人の中年女性。ふと周囲を見渡すと普段の格闘技会場より外国人率が異常に高く、逆に格闘技とは無縁のお連れ様、所謂、お色気系の女性が少ないことに気付く。
第2試合 バンタム級 5分3R
●水垣偉弥(シューティングジム八景)
○クリス・カリアーゾ
判定0-3 (28-29/28-29/28-29)
第3試合 ミドル級 5分3R
○福田 力(GRABAKA)
●スティーブ・キャントウェル
判定3-0 (29-28/30-27/30-27)
第4試合 バンタム級 5分3R
●山本“KID”徳郁(KRAZY BEE)
○ヴァウアン・リー
1R 4'29" 腕ひしぎ十字固め
食料調達から間一髪間に合った。KID、調子良さそうでパンチをヒットさせてグラついた相手に詰めるも焦りすぎて仕留め損ねる。リーはボディーがガラ空きだったのに・・・。で、持ち直したリーのパンチにグラついたKIDは、苦し紛れにクリンチ気味のタックルが無防備過ぎて下からロックされて三角から素早くアームバーを極められ人生初のタップアウト。金網という鬼門を打ち破れず4連敗となる。
第5試合 ライト級 5分3R
○五味隆典(久我山ラスカルジム)
●光岡映二(フリー)
2R 2'21" TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
開始早々から光岡の右フックが的確に五味を捉える。五味、動きが硬い。五味の放ったボディーに光岡の右フックがカウンターでヒットし倒れた五味を光岡が三角で仕留めに行くもホーンでラウンド終了。2R、開き直った五味が足を止め打ち合い光岡も応戦、左右のパンチと膝を有効に使い五味はラッシュをかける。最後は光岡が亀の子状態でレフリーに止められて五味の逆転勝利。が、マイクを横取りしてのいらんアピール。メインイベントの二人、同階級のエドガーとヘンダーソンに追い付くとは言っていたが、この試合内容で追い付けるのか疑問。
第6試合 ライト級 5分3R
○アンソニー・ペティス
●ジョー・ローゾン
1R 1'21" KO (左ハイキック)
ペティスの見事な左ハイ一閃。まるで往年のミルコの試合の様だった。
第7試合 フェザー級 5分3R
○日沖 発(ALIVE)
●バート・パラゼウスキー
判定3-0 (30-27/30-27/29-28)
相手を圧倒していた日沖は前戦とは違い3−0のフルマークで完璧な勝利だった。修斗の優等生は日の丸を背負ってUFC2連勝。試合後、ジョー・ローガンのタイトル挑戦への質問にもまだ自分には改善点があると謙虚に対応する姿に米国人が好む日本人像かなと。しかし、これでランキング2位となったらしく、フェザー級世界最強の王ジョゼ・アルドへの挑戦も現実的となってきた。
第8試合 ミドル級 5分3R
●岡見勇信(和術慧舟會東京道場)
○ティム・ボーシュ [Tim Boetsch]
3R 0'54" TKO (レフェリーストップ:パンチ連打)
5年程前、以前のBlog内でUFCで孤軍奮闘する岡見の事を書いた。あの頃、ほとんどの人が彼を知らなかったが、この日は期待感に包まれた会場の歓声を聞いて熱いものが込み上げてきた。岡見はオクタゴンでの攻め、回避を完全に熟知しており試合巧者であった。しかし、誰もが勝利を確信した最終Rにブーシュは玉砕覚悟でブルファイト。頭部を押さえ込んで腰が入ってないはずのアッパー連打で岡見は崩れ落ちて逆転負け。技術とかそんなものじゃない、理屈抜きで出鱈目な攻撃、あえて言うなら、欧米人特有の骨格差から来る筋量差に負けたとしか言えない。
第9試合 ウェルター級 5分3R
●秋山成勲(A-TeAm)
○ジェイク・シールズ
判定0-3 (27-30/27-30/27-30)
なぜ、蔑むのだろう。なぜ、いつまでも詰るのだろう。秋山を応援する気が無いなら無いでもいい、日本人はもっと懐の深い人種だと思っていた。いつからこんなに了見の狭い卑しい人種となったのだ、下品極まりない。けど、セクシーヤマは・・・無理があるな。カウンターで決めた大外刈りに秋山の真骨頂をみたがウェルター転向も4連敗ではリリースか・・・。
第10試合 ヘビー級 5分3R
○マーク・ハント
●シーク・コンゴ
1R 2'11" TKO (レフェリーストップ:右フック)
多くの人のUFCのイメージはこの様な大味な試合でしょう。どうも中軽量級に押され気味で本来、米国人が好きな神の階級であるヘビー級がどうも盛り上がらない。
第11試合 ライトヘビー級 5分3R
●クイントン・“ランペイジ”・ジャクソン
○ライアン・ベイダー
判定0-3 (27-30/27-30/27-30)
日本凱旋試合となるランペイジは試合前、日本ファンに恩返しがしたいと口にし、PRIDEのメインテーマを背に入場。会場は爆発的に盛り上がるが、調整不足で精彩を欠き動きの鈍いランペイジはベイダーに全く歯が立たず完敗で試合後マットに大の字で天を仰ぐ。
第12試合 メインイベント UFCライト級タイトルマッチ 5分5R
●フランク・エドガー(王者)
○ベンソン・ヘンダーソン(挑戦者)
判定0-3 (46-49/47-48/46-49)
※ヘンダーソンが新王者に
この試合こそが正に最先端MMAだった。二人の動きは軽快で無尽蔵、破壊力のある打撃と鉄壁のガードを兼ね備え、技術も戦術も多彩。まるで格闘技ゲームキャラの如く誰かがコントローラーでコマンドを入力しているのではないか?と錯覚してしまう程、常人離れしたコンプリートファイター対決であった。正直、今まで僕自身も日本人選手を欲目で擁護していたが、ライブで観戦し改めて日本格闘技界とのレベル差という悲しい現実を受け入れざるを得ないと猛省す。
ここ数年間、日本の選手もファンも「PRIDE」という大きな亡霊をいつまでも追い求め、その面影を見つけては回顧録や外伝を綴り、余韻に浸り、過去の栄光を懐かしんで現実逃避を繰り返したまま今日も会場に集ってしまった。しかし、僕らの見ていた総合格闘技は跡形もなく消え去りMMAというステージへ劇的に進化を遂げていた。もっと早く気付くべきだった。御家芸という自負にあぐらをかいていては、この先、何十年あっても届かない。今のUFCは間違いなく日本の何歩も先、全く違う次元を歩んでいる。
我々が目にしてきたUFCという墓場。
日本が誇る格闘家達がうなだれながら金網をあとにする姿を見る度に、「日本人はUFCで通用しないのか?」と失意の連続だった。そんな中、負け戦を分析してみた。多くの日本人選手が自信のあった打撃を当てられず、サークリングからヒット&アウェーを繰り返す相手に翻弄されている。
距離の違和感に戸惑い、リードのジャブやローを被弾し続けるために、焦って捕捉へ行った出鼻をタックルに入られポイントをロストするという、見せ場なき判定負けのパターンが目立つ。そう、UFCで活躍する猛者たちはオクタゴンという戦場を熟知しており、アウトボクサーかの様なステップワークを駆使することで攻守を切り替え、綿密な戦略を立てて戦っていた。
つまり日本人選手の敗因はケージ(金網)という空間への適応不足のみ。直径9m、高さ1.8mの金網に囲われたほぼ円形の死角なきケージは日本のリング(7m四方)と比較しても広大な分、セーフティーゾーンも広がり相手をキャッチしづらい。あのPRIDEで名を馳せたミルコでさえケージでの距離感に苦しみ、UFCで結果を残せず引退へと追い込まれた。
ケージへのアジャストは一朝一夕では不可能だが、格闘技の基本は「間合いを制する」ことだ。
修練を積み戦法をマスターすれば日本人選手も活躍できることを、既に岡見勇信選手が証明している。
2012.02.26を境に、武道大国日本の兵たちが必ず反撃の狼煙を上げてくれると信じてその勇姿を一緒に見届けよう。
日本が誇る格闘家達がうなだれながら金網をあとにする姿を見る度に、「日本人はUFCで通用しないのか?」と失意の連続だった。そんな中、負け戦を分析してみた。多くの日本人選手が自信のあった打撃を当てられず、サークリングからヒット&アウェーを繰り返す相手に翻弄されている。
距離の違和感に戸惑い、リードのジャブやローを被弾し続けるために、焦って捕捉へ行った出鼻をタックルに入られポイントをロストするという、見せ場なき判定負けのパターンが目立つ。そう、UFCで活躍する猛者たちはオクタゴンという戦場を熟知しており、アウトボクサーかの様なステップワークを駆使することで攻守を切り替え、綿密な戦略を立てて戦っていた。
つまり日本人選手の敗因はケージ(金網)という空間への適応不足のみ。直径9m、高さ1.8mの金網に囲われたほぼ円形の死角なきケージは日本のリング(7m四方)と比較しても広大な分、セーフティーゾーンも広がり相手をキャッチしづらい。あのPRIDEで名を馳せたミルコでさえケージでの距離感に苦しみ、UFCで結果を残せず引退へと追い込まれた。
ケージへのアジャストは一朝一夕では不可能だが、格闘技の基本は「間合いを制する」ことだ。
修練を積み戦法をマスターすれば日本人選手も活躍できることを、既に岡見勇信選手が証明している。
2012.02.26を境に、武道大国日本の兵たちが必ず反撃の狼煙を上げてくれると信じてその勇姿を一緒に見届けよう。
闘議(とうぎ)"The Way of SHOOTO 03" 観戦記 |
u-spirit 2010.06.10 |
The Way of SHOOTO 03 ~Like a Tiger,Like a Dragon~
5月30日(日)JCBホール
前日のDREAM.14 に続いて和田選手とHULKの父と3人で。今回、和田拓也選手にチケットを頂く。
アリーナ5列目のリング中央というベストポジション本当に有難うございます。
大会OP煽りは死亡遊戯のテーマ
GAME OF DEATH
そして出場全選手入場。
相変わらずルミナへの歓声は大きい。
5月30日(日)JCBホール
前日のDREAM.14 に続いて和田選手とHULKの父と3人で。今回、和田拓也選手にチケットを頂く。
アリーナ5列目のリング中央というベストポジション本当に有難うございます。
大会OP煽りは死亡遊戯のテーマ
GAME OF DEATH
そして出場全選手入場。
相変わらずルミナへの歓声は大きい。
<第1試合>
○石渡伸太郎×三木航●
1Rから濃いなぁ。総合な格闘技。その濃厚さに安堵さえ。
石渡も三木も試合ブランクがある筈なのにユルさが無くソリッドな展開。両者の応援団も凄い。結局、2-1で石渡。
昨日のDREAMとは違い、オープニングからフルスロットル。
○石渡伸太郎×三木航●
1Rから濃いなぁ。総合な格闘技。その濃厚さに安堵さえ。
石渡も三木も試合ブランクがある筈なのにユルさが無くソリッドな展開。両者の応援団も凄い。結局、2-1で石渡。
昨日のDREAMとは違い、オープニングからフルスロットル。
<第2試合>
○朴光哲×児山佳宏●
1Rは児山がテイクダウンを2回成功させ有利に試合をコントロールするも2Rは朴が打撃で優勢に。
結局、野武士、朴光哲が2-1の判定勝ち。
○朴光哲×児山佳宏●
1Rは児山がテイクダウンを2回成功させ有利に試合をコントロールするも2Rは朴が打撃で優勢に。
結局、野武士、朴光哲が2-1の判定勝ち。
<第3試合>
○エドゥアウド・ダンタス×扇久保博正●
ダンタスはドンタコス。反則のオンパレード。ずる賢いというか上手いというか、故意でないとアピールするも後頭部へのパンチ、3点ポジでの膝蹴り。結局、扇久保からチョークで1本勝ちするが、なんか、後味悪い。
○エドゥアウド・ダンタス×扇久保博正●
ダンタスはドンタコス。反則のオンパレード。ずる賢いというか上手いというか、故意でないとアピールするも後頭部へのパンチ、3点ポジでの膝蹴り。結局、扇久保からチョークで1本勝ちするが、なんか、後味悪い。
<第4試合>
○上田将勝×田村彰敏●
いや、エエ試合や。上田という男のいぶし銀な試合っぷりに感心さえ。何せ相手は田村ですから。
関係ないが以前から上田選手が我が格信犯のHero氏に似てると思っていた。その件、横にいたHULKの父に伝えると笑いながら同意。
いや、絶対に話し方とか動きとか全体的にメチャクチャ激似。
○上田将勝×田村彰敏●
いや、エエ試合や。上田という男のいぶし銀な試合っぷりに感心さえ。何せ相手は田村ですから。
関係ないが以前から上田選手が我が格信犯のHero氏に似てると思っていた。その件、横にいたHULKの父に伝えると笑いながら同意。
いや、絶対に話し方とか動きとか全体的にメチャクチャ激似。
<第5試合>
○佐藤ルミナ×松根良太●
プロシューターとなって最軽量に削ぎ落とされた肉体のせいからか佐藤ルミナは年齢経過を感じさせる。
試合は打撃合戦となり2R、ルミナ自身が狙っていたというカウンターの膝蹴りが見事に松根にヒット。
爆発する場内。
インタビューでは内容によっては引退の覚悟だったと。
あと何試合、こうやって月狼 佐藤ルミナの勇姿を生観戦できるのだろうか?
○佐藤ルミナ×松根良太●
プロシューターとなって最軽量に削ぎ落とされた肉体のせいからか佐藤ルミナは年齢経過を感じさせる。
試合は打撃合戦となり2R、ルミナ自身が狙っていたというカウンターの膝蹴りが見事に松根にヒット。
爆発する場内。
インタビューでは内容によっては引退の覚悟だったと。
あと何試合、こうやって月狼 佐藤ルミナの勇姿を生観戦できるのだろうか?
<第6試合>バンタム級世界王者決定戦
○漆谷康宏×神酒龍一●
BJの返上したベルトを賭けて世界ランク1位と2位の対決終始、試合巧者の漆谷がコントロール。判定は文句なしのフルマーク3-0 苦節19年、悲願のベルトを巻き漆谷は男泣き。
疲れて眠る大塚くん
○漆谷康宏×神酒龍一●
BJの返上したベルトを賭けて世界ランク1位と2位の対決終始、試合巧者の漆谷がコントロール。判定は文句なしのフルマーク3-0 苦節19年、悲願のベルトを巻き漆谷は男泣き。
疲れて眠る大塚くん
<第7試合>ウェルター級チャンピオンシップ
○ヴィラミー・シケリム×遠藤雄介●
遠藤は全く歯が立たない。何をやっても裏目となり挙句、急所への攻撃を受けてしまいペースまで失う。
遠藤のリベンジは届かないままシケリムは勝利後、UFCとの契約を発表し、その場でベルトを返上。
その姿まるで宇野薫。
○ヴィラミー・シケリム×遠藤雄介●
遠藤は全く歯が立たない。何をやっても裏目となり挙句、急所への攻撃を受けてしまいペースまで失う。
遠藤のリベンジは届かないままシケリムは勝利後、UFCとの契約を発表し、その場でベルトを返上。
その姿まるで宇野薫。
<第8試合>ライト級チャンピオンシップ 5分3R
●リオン武×日沖発○
煽りVTRでルミナが語った通り、間違いなくこの階級の世界一決定戦。リングサイドには前日に試合を終えた。
DREAMの高谷、大塚、大沢、宮田、や小見川の顔も見える。
”修斗の子”日沖発、王者であるリオン武、望まれた2人がリングで出会い日の丸を見つめ、凌ぎ合いを待つ。
1Rから積極的にリオンが出るが日沖はリーチ差を生かし左ジャブが走る。
2Rも日沖が的確にパンチを当て王者リオンは右が見えていないのか数初被弾し鼻血。しかし、それでも日沖のタックルだけは見切って対処。
3Rは、互いに拳で語り合っているかの様で。リオンが右を入れればグラつきながら日沖も右を返し、再びリオンが右を入れる。
そして、両者の拳に宿った魂が会場を”修斗”という色に染めていく。歓声ではない応援でもない。まさしく観客が共鳴して試合が終わる。
僕の胸にも熱いものが去来する。結果は日沖発が2-1の判定勝ち。
割れんばかりの拍手に包まれて敗者となったリオンが引き上げて行く姿と日沖のベルト姿、どちらも勇者。
●リオン武×日沖発○
煽りVTRでルミナが語った通り、間違いなくこの階級の世界一決定戦。リングサイドには前日に試合を終えた。
DREAMの高谷、大塚、大沢、宮田、や小見川の顔も見える。
”修斗の子”日沖発、王者であるリオン武、望まれた2人がリングで出会い日の丸を見つめ、凌ぎ合いを待つ。
1Rから積極的にリオンが出るが日沖はリーチ差を生かし左ジャブが走る。
2Rも日沖が的確にパンチを当て王者リオンは右が見えていないのか数初被弾し鼻血。しかし、それでも日沖のタックルだけは見切って対処。
3Rは、互いに拳で語り合っているかの様で。リオンが右を入れればグラつきながら日沖も右を返し、再びリオンが右を入れる。
そして、両者の拳に宿った魂が会場を”修斗”という色に染めていく。歓声ではない応援でもない。まさしく観客が共鳴して試合が終わる。
僕の胸にも熱いものが去来する。結果は日沖発が2-1の判定勝ち。
割れんばかりの拍手に包まれて敗者となったリオンが引き上げて行く姿と日沖のベルト姿、どちらも勇者。
5月末、DREAMと修斗を連日ライブで観戦した会場で感じた。
大会規模で言えばDREAMのそれは修斗を遥かに凌駕しており、会場も十倍以上広く、舞台装置も映像も地上波向けに洗練されたモノであった。PRIDEの頃より万人に格闘技が透するようにそういった斬新かつ刺激的な演出でイベント色の濃いメジャー大会として君臨してきた。
しかし、今回の会場でこれまでとは違う観客の異変に気づいた。人気選手の入場時の手拍子も疎らで、試合中にも然程ボルテージも上がらず、試合後の拍手も御座なりで話し声が聞こえてくる始末。要は会場の反応が鈍く一体感が全く感じられない。
その要因は人間の”慣れ”ではないだろうか。
ひとつはデコレーションされた上物を通して観戦するクセがつき、いつしか試合を見ずに選手だけを見る観客ばかりになっていた。そして、もうひとつがカリスマ性のあるタレント不足。大規模会場と地上波放送で一躍有名選手となり、発言こそファンを意識しカリスマぶってみるが、結果が残せず有言不実行を繰り返し飽きられた感が。そもそも、DREAMはコアなファン以上に若年層、女性層といった新規ファンが多く来場する大会だった。興味を持ってもらうには成功したが、期待の選手たちが結果を残せず、ここ最近はファン離れが始まり苦戦し続けている。そんな会場で待望論も鳴り止んだ青木vs川尻を今更、発表しても盛り上がる筈も無い。
格闘技という究極のリアルな場所で人間模様というエッセンスは試合の期待感を向上させる要素として重要だが、それは中身が伴っているという前提でなければ意味を成さない。感情移入するにも無理矢理に強引な背景を刷り込んでもファンはリングに夢を見たり、選手に自分を投影したりできない。そんな背景からDREAMのファンは格闘技に対し肝心のロマンという”夢”を見出せなくなってしまった気がする。あの会場の何とも言えない空気は一体、何が好きだったのか?を考えているようにも思えた。
これは小さい出来事だけど、とても大きな歪みである。
そんなDREAMよりも遥かに小さい会場で行われた修斗では逆に物凄い会場熱というか一体感を肌で感じられた。
総合格闘技界の先駆者として綿々と継承されてきた修斗という団体の結晶がそこにあった様に思う。殆どの出場選手がアマ修斗からの生え抜きの選手で基本技術レベルが軒並み高い。当然、試合の内容も濃くなり非常に見応えがある。試合が面白いから知名度の低い選手同士であっても盛り上がる。会場にはそんな選手たちを応援というより支援する定着したファンが集う。だから声援内容でさえ温かさを感じる。
例えるならメジャーリーグAAAのボールパーク。
競技がそのものが大好きで選手に対してもリスペクトの気持ちを忘れない。
それに対してDREAMはプロ野球のシーズン終盤の消化試合の球場のごとく。
試合の勝敗について拘りがなく、出場選手と個人タイトルにしか興味がない。
なぜ、こんな落差が出るのか?それはやはり、中身と根幹である。
どんな競技でも人気が欲しいからとヒーローを手っ取り早く探してきて用意できるものではない。
試合を重ねてファンに育てられるもの。
それには時間がかかる。
UFCが全米で人気を博しているのも現実の大会とリンクして取り入れた選手育成リアリティ番組「The Ultimate Fighter(TUF)」があったからこそ。直ぐにでもと先走る気持ちを抑え、着実に有望な選手を育てればファンは必ず支持してくれる。
メジャーと呼ばれるならば、いつの日か選手もファンも具体的な”夢”が持てるボールパークならぬ『MMAパーク』な大会を目指し、日本格闘技界を再び世界一に押し上げて欲しい。
大会規模で言えばDREAMのそれは修斗を遥かに凌駕しており、会場も十倍以上広く、舞台装置も映像も地上波向けに洗練されたモノであった。PRIDEの頃より万人に格闘技が透するようにそういった斬新かつ刺激的な演出でイベント色の濃いメジャー大会として君臨してきた。
しかし、今回の会場でこれまでとは違う観客の異変に気づいた。人気選手の入場時の手拍子も疎らで、試合中にも然程ボルテージも上がらず、試合後の拍手も御座なりで話し声が聞こえてくる始末。要は会場の反応が鈍く一体感が全く感じられない。
その要因は人間の”慣れ”ではないだろうか。
ひとつはデコレーションされた上物を通して観戦するクセがつき、いつしか試合を見ずに選手だけを見る観客ばかりになっていた。そして、もうひとつがカリスマ性のあるタレント不足。大規模会場と地上波放送で一躍有名選手となり、発言こそファンを意識しカリスマぶってみるが、結果が残せず有言不実行を繰り返し飽きられた感が。そもそも、DREAMはコアなファン以上に若年層、女性層といった新規ファンが多く来場する大会だった。興味を持ってもらうには成功したが、期待の選手たちが結果を残せず、ここ最近はファン離れが始まり苦戦し続けている。そんな会場で待望論も鳴り止んだ青木vs川尻を今更、発表しても盛り上がる筈も無い。
格闘技という究極のリアルな場所で人間模様というエッセンスは試合の期待感を向上させる要素として重要だが、それは中身が伴っているという前提でなければ意味を成さない。感情移入するにも無理矢理に強引な背景を刷り込んでもファンはリングに夢を見たり、選手に自分を投影したりできない。そんな背景からDREAMのファンは格闘技に対し肝心のロマンという”夢”を見出せなくなってしまった気がする。あの会場の何とも言えない空気は一体、何が好きだったのか?を考えているようにも思えた。
これは小さい出来事だけど、とても大きな歪みである。
そんなDREAMよりも遥かに小さい会場で行われた修斗では逆に物凄い会場熱というか一体感を肌で感じられた。
総合格闘技界の先駆者として綿々と継承されてきた修斗という団体の結晶がそこにあった様に思う。殆どの出場選手がアマ修斗からの生え抜きの選手で基本技術レベルが軒並み高い。当然、試合の内容も濃くなり非常に見応えがある。試合が面白いから知名度の低い選手同士であっても盛り上がる。会場にはそんな選手たちを応援というより支援する定着したファンが集う。だから声援内容でさえ温かさを感じる。
例えるならメジャーリーグAAAのボールパーク。
競技がそのものが大好きで選手に対してもリスペクトの気持ちを忘れない。
それに対してDREAMはプロ野球のシーズン終盤の消化試合の球場のごとく。
試合の勝敗について拘りがなく、出場選手と個人タイトルにしか興味がない。
なぜ、こんな落差が出るのか?それはやはり、中身と根幹である。
どんな競技でも人気が欲しいからとヒーローを手っ取り早く探してきて用意できるものではない。
試合を重ねてファンに育てられるもの。
それには時間がかかる。
UFCが全米で人気を博しているのも現実の大会とリンクして取り入れた選手育成リアリティ番組「The Ultimate Fighter(TUF)」があったからこそ。直ぐにでもと先走る気持ちを抑え、着実に有望な選手を育てればファンは必ず支持してくれる。
メジャーと呼ばれるならば、いつの日か選手もファンも具体的な”夢”が持てるボールパークならぬ『MMAパーク』な大会を目指し、日本格闘技界を再び世界一に押し上げて欲しい。