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運という魔物 -K-1 MAX 2009 JAPAN トーナメント- - 闘議(とうぎ) - 格信犯ウェブ

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運という魔物 -K-1 MAX 2009 JAPAN トーナメント-

u-spirit
2009.03.04
 地上波でほぼ市民権を得た感のある、このカテゴリー。
少し前まで軽中量級の立ち技系の大会の客層と言えば柄の悪い中年、コアな格闘技ファン、選手関係者、そして、招待客。会場の女性と言えば夜の蝶か選手の彼女。そんな殺伐とした空気はまるで後楽園ホールにいてココは歌舞伎町か?と感じる雰囲気だった。

 ところが、K−1MAXのお陰で若年層、特に女性ファンが急増し挙って来場するようになり、その現象に一番、面食らったのはマサト以外の黄色い声援など無縁の世界で過ごしてきた出場選手達だっただろう。キックボクシングの大会が地上波のゴールデンで流れている現状に時代とは常に変化していくものだと思わされる。

 そして、今回、闘うコスプレイヤー長島”自演乙”雄一郎が参戦したことで「新たなるコアな客層も来場しています。」とのコメントと共にコスプレイヤーの映像がゴールデンタイムに流れるという歴史的な日に。


 そもそも格闘技マニアとコスプレを含むアニメマニアは分析・妄想・陶酔を繰り返すなどの共通項が多く、実際、アニメ好きで格闘技好きと言う人も少なくない。

 確かに来場したコスプレイヤー達はライブは初めてだったかもしれないが、ウチワやタオルを持って試合そっちのけで選手個人にしか関心のないキャーキャーと叫ぶギャル達よりはルールや選手について、特技の分析・妄想を活かし詳細な情報に精通していたりするんだろう。

 長島選手の特異な入場は賛否両論あるが、リング上でコールされる前に間に合うように急いでタイツを脱いでる姿や、試合前に対戦相手と対峙しても目を合わせぬ姿を見てシャイで御人好しな人間性を見た。

 本来、選手としても新日本キックでは無敗でMAXまで登りつめた実力はホンモノで谷川氏の称した「たて拳」所謂、日本拳法の”直突き”は彼の必殺技であり、ボクシング類などのパンチとは異なり肩を回転させずにノーモーションで繰り出される。その姿は放送の解説で擬えられた渡辺二郎より、古いビデオで見た伝説のキックボクサー元K−1レフリー猪狩元秀を彷彿とさせ対戦相手に直突きは見事にヒットしており、彼の無敗記録が伊達ではない事をMAXの観客に見せ付けた。

 そして、長島選手について、どうしても記しておきたいのは、彼が今大会、偶発的であるが反則攻撃を2度も受け深刻なダメージを負ってしまったこと。
 1試合目の肘、2試合目のバッティング、それでも彼は心折れる事なく闘い続け、相手に敬意を表してリングを降り、引揚げる途中の通路にて初めての敗戦に蹲って泣き崩れ悔しさを滲ませた。

その光景はあまりに気の毒なり。

 コスプレヤーに偏見はあるかもしれないが、リング上の彼は立派なファイターだった。だからこそ彼が王者となる日がそう遠くない気がした。


そんな不運もあれば、対照的に幸運を手にした選手もいた。

 一回戦敗退という失態から相手の鼻骨骨折という幸運により、繰上げ復活となった城戸康裕。しかし、それ以上の幸運に恵まれたのが城戸選手を迎え撃った小比類巻太信。

 復活で次戦に駒を進めるも初戦で深刻なダメージを負っていた城戸選手に活路を見出す余力は残っておらず、小比類巻選手が順当に仕留めて復活をアピール。この試合を勝ち上がった小比類巻選手はそのまま優勝し世界トーナメント出場権を獲得した。

 ここ数年、惜敗、惨敗、完敗と負け続きで、出口の見えない丼底で、もがき苦しみ何とか過去の知名度だけで首の皮一枚を繋げ、日本代表トーナメントにも滑り込み的、出場が否めなかった小比類巻選手。
 強くなれるならと所属ジムも名前も変えた男の見事な復活劇!と賞賛したいところだが少し”不甲斐無い”試合内容だった。

 以前のライバルであった現MAX世界王者の魔裟斗は解説席に陣取り各選手の長所・短所を的確に語り、格の違いを闘わずして見せつけていたし、もう一人のエース、佐藤嘉洋はスーパーファイトで完勝して試合内容で格の違いを見せ付けた。前者2人と比較すると小比類巻選手は実力差があるように見受けられた。

 先に述べた長島選手以外にも新鋭が続々と頭角を現した今大会、前年王者の城戸選手でさえ、初戦敗退という結果に競技として繁栄し裾野が広がるということは、選手層が拡充される分だけ、下克上のサイクルも短くなるという現実を目の当たりさせられた。


選手間の生き残りを賭けたサバイバルは今後、より一層過酷となっていくだろう。

 運も実力の内とは言うものの、そんな中で生き残っていける力強さを今回の小比類巻太信という男に感じる事はできなかった。計り知れないオーラというか輝きを感じられなかった。


果して、それが要らぬ心配なのかは秋の世界トーナメントで明らかとなる。

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