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MMA PARK - 闘議(とうぎ) - 格信犯ウェブ

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闘議(とうぎ)

MMA PARK

u-spirit
2010.06.09
 5月末、DREAMと修斗を連日ライブで観戦した会場で感じた。
 大会規模で言えばDREAMのそれは修斗を遥かに凌駕しており、会場も十倍以上広く、舞台装置も映像も地上波向けに洗練されたモノであった。PRIDEの頃より万人に格闘技が透するようにそういった斬新かつ刺激的な演出でイベント色の濃いメジャー大会として君臨してきた。

 しかし、今回の会場でこれまでとは違う観客の異変に気づいた。人気選手の入場時の手拍子も疎らで、試合中にも然程ボルテージも上がらず、試合後の拍手も御座なりで話し声が聞こえてくる始末。要は会場の反応が鈍く一体感が全く感じられない。

その要因は人間の”慣れ”ではないだろうか。

 ひとつはデコレーションされた上物を通して観戦するクセがつき、いつしか試合を見ずに選手だけを見る観客ばかりになっていた。そして、もうひとつがカリスマ性のあるタレント不足。大規模会場と地上波放送で一躍有名選手となり、発言こそファンを意識しカリスマぶってみるが、結果が残せず有言不実行を繰り返し飽きられた感が。そもそも、DREAMはコアなファン以上に若年層、女性層といった新規ファンが多く来場する大会だった。興味を持ってもらうには成功したが、期待の選手たちが結果を残せず、ここ最近はファン離れが始まり苦戦し続けている。そんな会場で待望論も鳴り止んだ青木vs川尻を今更、発表しても盛り上がる筈も無い。

 格闘技という究極のリアルな場所人間模様というエッセンスは試合の期待感を向上させる要素として重要だが、それは中身が伴っているという前提でなければ意味を成さない。感情移入するにも無理矢理に強引な背景を刷り込んでもファンはリングに夢を見たり、選手に自分を投影したりできない。そんな背景からDREAMのファンは格闘技に対し肝心のロマンという”夢”を見出せなくなってしまった気がする。あの会場の何とも言えない空気は一体、何が好きだったのか?を考えているようにも思えた。
 これは小さい出来事だけど、とても大きな歪みである。

 そんなDREAMよりも遥かに小さい会場で行われた修斗では逆に物凄い会場熱というか一体感を肌で感じられた。
 総合格闘技界の先駆者として綿々と継承されてきた修斗という団体の結晶がそこにあった様に思う。殆どの出場選手がアマ修斗からの生え抜きの選手で基本技術レベルが軒並み高い。当然、試合の内容も濃くなり非常に見応えがある試合が面白いから知名度の低い選手同士であっても盛り上がる。会場にはそんな選手たちを応援というより支援する定着したファンが集う。だから声援内容でさえ温かさを感じる

 例えるならメジャーリーグAAAのボールパーク
 競技がそのものが大好きで選手に対してもリスペクトの気持ちを忘れない。
 それに対してDREAMはプロ野球のシーズン終盤の消化試合の球場のごとく。
 試合の勝敗について拘りがなく、出場選手と個人タイトルにしか興味がない。
 なぜ、こんな落差が出るのか?それはやはり、中身と根幹である。

 どんな競技でも人気が欲しいからとヒーローを手っ取り早く探してきて用意できるものではない。

 試合を重ねてファンに育てられるもの。
 それには時間がかかる。

 UFCが全米で人気を博しているのも現実の大会とリンクして取り入れた選手育成リアリティ番組「The Ultimate Fighter(TUF)」があったからこそ。直ぐにでもと先走る気持ちを抑え、着実に有望な選手を育てればファンは必ず支持してくれる


 メジャーと呼ばれるならば、いつの日か選手もファンも具体的な””が持てるボールパークならぬ『MMAパーク』な大会を目指し、日本格闘技界を再び世界一に押し上げて欲しい


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