Weekly Column

Hero's Eye

秋空の大阪城ホール

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2004.10.22
 10月14日、今夏の猛暑はどこへいったのかと思うほどすっかり秋の気配の大阪で、PRIDE武士道其の伍が開催された。
 お盆休みを取り損ねていた事が幸いし、2ヶ月遅れの夏期休暇申請に成功した私も会場である大阪城ホールへ向かったのだが、今回ばかりは客入りを心配せずにはいられなかった。これまで四回行われた武士道は、判定にもつれ込む試合の多さや、本来のコンセプトである日本人選手の活躍が薄かったと言わざるを得ない。また今回、武士道としては初の平日開催という客足を遠のけるネガティブ要素を十分はらんでいたのである。ただ、今回のカードを見てみると、五味、マッハの武士道常連組はもちろんだが、足関十段の今成のPRIDE初参戦や、長南亮 vs カーロス・ニュートンなど魅力的なカードが揃っていた。
 さて、開始1時間ほど前に入場したのだが、案の定空席が目立った。30分前になっても、オープニング直前になっても、空席がどうしても目立つ。私はDSEの社員ではないが、こういう状況を大阪の会場で見る事が非常に残念でならない。これが、東京での開催であったらどうだっただろうか。。。と考えてしまうのである。今回の武士道パンフレットにDSE榊原社長の言葉のなかに『目の肥えた大阪のファンの皆様に〜』というものがあったが、これは完全にリップサービスだろう。ただでさえ首都圏と比べると総合格闘技を生で観戦する機会は圧倒的に少ない。試合が始まってからも、会場の盛り上がりはいまひとつと言わざるを得ない状況であった。今回特に思ったのが、私たちのようなある程度ディープなファンは試合内容がよければそれで満足できるのかもしれない。しかし初めてPRIDEを観戦しにきたビギナーファンも多かったと思うが、彼らはその興行が成功か否かを左右する重要なポイント、『会場の熱』を感じることができたのだろうか。
 ただそんなネガティブ要素の中でも選手たちは、私たちの期待に応えてくれた。戦闘竜の総合格闘技初勝利や、長南亮の大逆転勝利。今回初めてメインを努めた五味隆典は『お客さんをスカッとした気持ちで帰す』と試合前に話していたが、その言葉通りの一本勝ちを収めた。
 だからこそ満員の観客の中で彼らには試合をさせたかったし、彼ら選手にも大阪の観客の熱さを感じてほしかった。結果的には、ミルコやヴァンダレイなしの地方平日開催という実験的興行は、時期尚早だったのかもしれない。こんな状況を少しでも打破するために、これからも色々な視点から格闘技界を見つめ、たくさんの人にその素晴らしさを伝え、格闘技ファンの裾野を広げていく事が私たちの目指すべきところなのだ。そんなことを思った秋の一日であった。
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