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小川vsヒョードルはいかが? - 格闘技コラムメディア「STAND」出張版 - 格信犯ウェブ

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格闘技コラムメディア「STAND」出張版

小川vsヒョードルはいかが?

Guest
2004.07.02
シンジニシムラ 32歳 格闘技コラムメディア「STAND」代表
数ある試合結果速報・ニュースを売りとする格闘技ウェブサイトとは趣を変え、「STAND」は書き手の思いをダイレクトに反映したコラムという手法で格闘技の世界を広く深く掘り下げていくウェブメディアです。そのスタンスは格信犯ウェブと同じであると解釈し、少しでも格闘技ファンの裾野を広げようと微力ながら我が格信犯とタッグを組んで頂きました。そしてこの度STAND代表としてシンジニシムラ様にゲスト参戦して頂き、コラムを執筆して頂きました。どうぞご一読ください。(marc_nas)
 開幕戦1回戦を勝ち進んだ8名による4試合から抜け出した4名の勝者は大方の希望通りの顔ぶれとなった。6月20日、さいたまスーパーアリーナのリング上に並び立ったベスト4。エメーリヤエンコ・ヒョードル、アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ、セルゲイ・ハリトーノフ、そして小川直也。早くも各方面で、なかば本決まりかのように2つの準決勝カードが一人歩きしている。
・エメーリヤエンコ・ヒョードル vs セルゲイ・ハリトーノフ
・アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ vs 小川直也
 問答無用のベストカードである。
 ノゲイラvs小川は言わずもがな、現時点で日本格闘技界に残された最強最後のファンタジーバウト。プロレスラー・小川としてのギミックはどうでもよく、アスリートでありファイターとしての小川に与えられた究極のリトマス試験紙となる。日本のトップファイターたちの舌を巻かせたという新宿スポーツセンターでのスパーリング乱入逸話がリングの現実になる瞬間をこの目で観たい。
「小川さんはまるで軽量級の選手のような早い動きで極めまくってました」
 こんな話を耳にして、小川に期待するなと言われても無理な相談だ。柔道vs柔術、プロフェッショナルvsアマチュアなどと小川とノゲイラの間には話題性ある対立図式を作りやすいこともこのカード実現への後押しとなっていよう。その対立図式はいくらでも、こじつけでも作ることができる。ノゲイラvs小川がある以上、残るもう1試合は自ずとヒョードルvsハリトーノフとなる。この場合は"元同門の因縁"というテーマが与えられる。
 果たして、ヒョードルとハリトーノフとの間に因縁などあるのか。もちろん言葉の意味での因縁はあろうが、この場合の因縁は憎悪とイコール。
 極寒の地・ロシアで強くなるために、試合に勝利するために一緒に特訓を積んだ2人の間には友情こそあれ、憎悪の欠片もないと断言したい。そんな2人をいたずらに、勝手に因縁をこじつけて対戦させるのはあまりにもプロレスチックではないか。たしかに今では両者は違うチームに袂を別っているが、いざリング上で決勝進出の名誉を賭けて闘うとなって、そう簡単に友情は別と気持ちを切り替えられるものだろうか。プロである以上そうしなければいけないのかもしれない。だがこればっかりは、闘う当人にしか分からない想いがあるはずである。
 無理やり因縁を演出しなくてもいい。この世に残った2人による生き残り決戦という究極の場であれば話は別。このほうがPRIDEグランプリのコンセプトにも合致する。因縁ではなくドラマを。元同門対決への道を創るのはヒョードルでありハリトーノフ、両者ともに勝利したときでいいと考えるのは私だけだろうか。UFCで行なわれた元親友対決、ティト・オーティズvsチャック・リデルの後味は決して旨いものではなかったが、UFCに残された必然のマッチメイクであった。
 そうなるとまったく新しいカードが生まれる。これはこれで極上の組み合わせである。
・エメーリヤエンコ・ヒョードル vs 小川直也
・アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ vs セルゲイ・ハリトーノフ
 小川がいきなり王者・ヒョードルと一騎打ち。このカードに興味を持たない人がいれば手を挙げて欲しい。プロレスファンにとっては藤田と永田の仇討ちなんていうテーマもつけられよう。少なくとも昨年大晦日の『イノキボンバイエ』で誰も望まなかった永田のタナボタヒョードル戦とは雲泥の差の期待がある。
 ノゲイラvsハリトーノフはどんな展開になるか容易に想像し難い好カード。まだまだ技の引き出しを隠し持つノゲイラに、まだまだ潜在能力を見せきっていないハリトーノフ。PRIDEの試合を純粋な格闘競技として堪能できることが約束されている。
 その上で、どちらの試合で誰が勝っても"最強"のメインディッシュが我々にサーブされることになる。
 ヒョードルvsノゲイラなら、真の王者決定戦にしてリベンジ再戦。小川vsハリトーノフなら誰も予想しなかったダークホースマッチメイクも、この意外さにかえって緊張を覚えるだろう。決勝の舞台でノゲイラvs小川が実現すればGPの栄誉を賭けた価値がついてくる。まあ小川は徹底的にうそぶいてその価値を認めないだろうが。一方のヒョードルvsハリトーノフも仕組まれた因縁ではなく、必然の友情対決へと姿を変え、より大きな感動を呼ぶことになろう。
 「ノゲイラvs小川はお互い無傷の状態でやらせたい」「決勝戦をロシア同士の対決にしたくない」という声もあるからなおさらマッチメイクも困難を極めるものになっていよう。主催者の希望とファンの要望が必ずしも100%同じになることはないが、ファンとは優しいもので、与えられたモノを素直に受け入れてしまう。
 だが今回ばかりは悪あがきをしたい。筋の通ったマッチメイクを希望したい。私の筋は前述した通り。さもなければ、昨年のミドル級GPのように抽選を取り入れてもらいたい。もしその場で小川が当てクジを引いたら、一体誰を選ぶのだろうか。
 次回グランプリ決勝の開催日は8月15日。PRIDEの場合はこの日が終戦記念日とはならない。準決勝の組み合わせ、そしてその勝者による決勝カードが生まれるも、このヘビー級トップ4同士による新鮮なマッチメイクがまだ残されている。ミルコ・クロコップもトップ戦線に戻ってくるだろう。そんなとっておきカードが実現するチャンスがある以上、8月15日はPRIDEヘビー級サバイバルマッチの新たな幕開けになる。
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