Weekly Column

Hero's Eye

革命戦士の憂鬱

Hero
2004.03.09
 昨年暮れに表面化したZERO-ONEとWJの抗争に決着をつけるべく、両団体のトップである橋本真也と長州力の一騎打ちが2月29日にZERO-ONE3周年記念興行のメインイベントで実現された。
 結論から言ってしまおう。この戦いからは『なにも感じなかった』のだ。感動はもとより興奮すらも覚えることはなかった。11分8秒、2人のこれまでの経緯をリングで表現するには、あまりにも短すぎた試合時間であったこともさることながら、とても万全とは言えない2人のコンディションからもこのような結末は心のどこかで予想していたことだったのかもしれなかった。
 ただ、ひとつ残ったものがある。『長州力は潰れなかった』という事実だけは残ったのだ。
 試合自体は長州がリキラリアット、サソリ固め、雪崩式ブレンバスターなどを繰り出してペースを握っていたのだが、どの技にも『革命戦士』と呼ばれた以前の力強さを感じることはできなかった。一方、試合中に右肩の脱臼を悪化させた橋本は長州優勢に見られた展開を重爆キック1発で引っくり返しスリーカウントを奪ったのだが、そのあまりにもあっけない幕切れに会場全体は違和感に包まれたのだった。
 なにごともなかったように自分の足で控え室へ消えて行く長州に対して、若手の肩を借りなければ起き上がることすらできなかった『破壊王』橋本。会場全体には『消化不良』という意識に統一された空気が漂ったが、それはむしろ長州よりも橋本へ対する『消化不良』ではなかったのだろうか。
 もうこの2人の確執というものは薄れてきているのだろう。そもそもあれほど蔑んでいた橋本真也のZERO-ONEリングにあがること自体、長州にとっては屈辱とも言えるのではないだろうか。この試合のたった2日後には橋本と会談の場が設けられ、なんと今度は『ハッスル2』への参戦が表明されたのだった。長州の必死さが如実に表れているように思えるのだが、その必死さの度合いはWJの経営状態と反比例しているようにも感じられる。エンターテイメント路線を追求したハッスルに参戦せざるを得ない姿には悲壮感すら漂って見えるのは気のせいだろうか。
 長州力が現役でいる限り、WJはプロレスで潰されることはないだろう。だがプロレス以外のなにかが原因でWJが崩壊してしまったとき、すべてをかなぐり捨てている長州力に一体なにが残るというのだろうか。
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