Weekly Column

Hero's Eye

代表選考に疑問符 ~070429_全日本柔道選手権~

Hero
2007.05.31
Heroのブログにて掲載されていた全日本柔道選手権についての寸評を、せっかくなので格信犯ウェブの方に転載いたします。
 もう1ヶ月経過してしまいましたが、4月の終わりの全日本柔道選手権について。
 実は、武道館まで行くつもりでいたんですが、事情があってTV観戦。
 世間の注目は、井上康生選手の復活に集中していたような気がしていましたが、ボクは昨年のチャンピオンである石井慧選手がどんな戦いを見せるのかというものでした。しかも、今回は世界選手権重量クラスの最終代表選考会も兼ねていましたので、非常に興味深いものとなりました。
 結果から言うと、石井選手は準決勝で井上選手を破り、2年連続で決勝に進出。この試合では石井選手の取り口には賛否両論があるようですね。組まれたら先に仕掛けないと、井上選手の内股が飛んでくるわけですから、現実的な作戦でしょうね。むしろ、万全の井上選手なら石井選手よりも先に動いていたのではないでしょうか。(この時点で、井上選手の世界選手権は消えたと思っていました、ボクは)
 決勝は昨年と同じ相手であるアテネオリンピックの金メダリスト鈴木桂治選手に残念ながら判定負けとなりました。
 この戦いぶりいかがでしょうか。いろんな意見があるようですが、ボクは石井選手は本当によくやったと思います。今回の大会は、故障明けのためぶっつけで望んだ大会です。この全日本選手権は、どんな世界大会よりも勝ち抜くのがむずかしいのではとも言われている大会です。それでもディフェンディングチャンピオンとしての重圧に耐え、学生ながら2年連続の決勝進出は、ある意味快挙じゃないですかね。
 ちなみに、彼は鈴木選手と同じ100キロ級の選手です。そのため、世界選手権の100キロ級代表は鈴木選手となりました。これは当然、納得。しかし、100キロ超級、無差別級のいずれかの代表となるのが井上選手ということも決まりました。しかもその補欠が今回のベスト8で敗退した棟田選手、高井選手。いずれも100キロ超級の選手ではありますが、どうなんでしょう、これ。同じようなことが、女子にもありましたしね。(全日本体重別選手権48キロ級で準優勝に終わった谷亮子選手が、世界選手権代表に選出)
 確かに、これまでの経験や実績を考慮すればで井上選手や棟田選手を代表にするのはベターな選択かもしれません。 しかし、彼らは北京が最後のオリンピックとなるでしょう。それに対して石井選手はまだ20歳です。いまから国際経験を積ませることが、必ず将来の活躍につながると思うのですがね。鈴木選手は、2003年の全日本選手権で当時同じ100キロ級の選手であった井上選手に敗れましたが、同年の世界選手権無差別級代表となりました。そこで彼は経験を積み(大会では優勝)、オリンピック金メダリストにもなりました。その後の活躍は周知の通りです。
 北京以降の日本柔道を牽引していくであろう石井選手。彼に必要なのは国際経験だと思うんです。昨年の全日本選手権で優勝した後に出場したアジア選手権では準優勝に終わってしまいました。経験が乏しいのですから、仕方なかったのでしょう。それゆえ、国内で結果を残しているにもかかわらず、世界選手権レベルでの試合ができないのはいかがなものかと。アジア大会やフランス国際では得られない経験が世界選手権にはあると思うんです。
 目先の結果にだけこだわっているという訳ではないのでしょうが、北京オリンピック以降の日本柔道が心配です。
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