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ミドル級T決勝戦観戦記_後編 ~070917_HERO'S~ - 闘議(とうぎ) - 格信犯ウェブ

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闘議(とうぎ)

ミドル級T決勝戦観戦記_後編 ~070917_HERO'S~

u-spirit
2007.10.04
前編より続き


 休憩明け。この日、来場していたもう1人の生けるレジェンド”ヒクソン・グレイシー”がマイクを持ってリングイン。

「リングに立つと血が騒ぐ」
「次に皆様に会う時は選手として」
「近い将来、このリングに…。」

との”ウルトラリップサービス”も会場は思った程、盛り上がらず微妙な空気が漂う。10代〜20代のKIDや宇野を目当てに来場した娘さんたちは皆、一様にポッカーン。「オッサン、誰?何を言ってんの?」状態けれど、老いても、闘わずしても、未だ”最強”の称号を維持し続けるこの”オッサン”は、過去、日本格闘技界の”至宝”と呼ばれた多くの選手を尽く退けてきた。故に本当の”グレイシー越え”は、未だ完遂されていない。日本格闘技界がグレイシーを越える日、それは、ホイスやホイラーやハイアンではく、誰も疑う余地の無い”象徴”ヒクソンを倒した日が訪れたその時。この”夢”そのものが、MMAが急激に進化した現在では、ただの”幻想”かもしれない。世界を見渡しても、これ程、グレイシー一族に執着している国は今時、ニッポンだけだ。だから、今、ヒクソンを倒しても、その選手は”地上最強”の称号を得られない。精精、”ロートルなヒクソンを倒した男”と呼ばれるだけ。でも、UWFを知る者にとって、この”仇打ち”の価値は、今でも充分に意味がある。失ったものを、あの日を取り戻すには”ヒクソン”を倒すしか術はない。
第8試合 85kg契約
桜庭和志×柴田勝頼
 柴田はミノワマンをも凌ぐ”猛ダッシュ”勢い余って転倒して、吠えながらリングイン。このテンションはプロレスラーらしくて好きだ。だけど、格闘家として試合に挑むスタイルとしては、好ましくないだろう。そして、桜庭の入場時に流れた煽りVTRは、コミカルで真剣勝負に挑む際、神妙になりがちな空気を笑いで和ませ、試合前から柴田を煙に巻く。(残念ながら地上波ではカット)サクはこれまでのショートスパッツではなく、珍しくキックパンツスタイル。しかも指先は人差し指以外、全指、テーピングを施している。滑り止め対策か?古傷である両膝のガッチリテーピングと合わせ、やる前から痛々しくて既に負傷者の如し。試合前、ヒクソンから両者に花束贈呈、柴田は受け取ると即座に客席へと放り投げる。流石にヒクソンもこれには怪訝な顔。

 試合は、元師匠の名付けた桜庭得意の高速片足タックル”サックル”が早々に決まり、難なく柴田をテイクダウン。ところが、柴田は下からサクの側頭部にパンチを躊躇無く、何発も入れる。サクはスイープとパスを繰り返し、自在に下の柴田を押さえ込む。ココでさっきのお返しとばかりにサクはキレ気味で平手とパンチで上から柴田を殴り続ける。スタミナをロスし、ダメージ蓄積で”返す”動きの止まった柴田の右腕を取り、足を跨いでフィニッシュへと移行するサク。柴田も両足でフックして、クラッチを切られまいと懸命に凌ぐ。それでもサクは支点をズラして、クラッチを切りガッチリ極めてタップアウトを奪う。試合後、サクは柴田をポンポンと叩き、健闘を称え合った。柴田は座礼にて意思を伝える。サクも座礼で応え、互いに言葉を交わす。さっきまで殴り合っていたけれど、別に憎み合っていた訳じゃない。互いを認め合い、礼に始まり、礼に終わる。”礼節”を重んじる”武道”に通じるこの競技と選手の姿をワーキャーと騒ぐだけでなく、しっかり観ていて欲しいと願う。果たしてサクとUWFの終着先は船木戦か?ヒクソン戦か?
第9試合 63kg契約
山本“KID”徳郁×ビビアーノ・フェルナンデス
 この試合、ビビアーノもKIDも異次元だった。でも、それを上回る異次元を繰り広げたのは”ヌル塗る事件”で一躍有名になった梅木レフリー。今回はあまりに滑稽である。ジャッジミスや勘違いってレベルを通り越していた。状況判断力が無さ過ぎる。試合中、KIDも呆れ顔で苦笑い。もう少しで名勝負が”迷勝負”になるところ。「今回、凌げた事で、寝技でも自信がついた」試合後のKIDのコメントが全てを物語っていた。僕は今回、KIDの一本負けを予想していた。ビビアーノの強さは、一般的に認識されていないが、柔術家としては、世界でも屈指のツイスター。グレイシーバッハらしからぬw積極的なスタイルでテクニックと対応力はトップクラス。本当の天才だ。そのビビアーノの猛攻を凌いだKIDの実力は、とんでもなく凄い。会場では、試合後のマイクパフォーマンスの際、判定勝利への不満からか?「言い訳するな!」と心無い野次が飛んだが、対戦相手が”ビビアーノ”だった事を考慮すれば、文句の付る余地など皆無、正に天晴れだ!そりゃ、自信も付くよ。
第10試合 ミドル級トーナメント決勝戦
J.Z.カルバン×アンドレ・ジダ
 相変わらず入場時間の長いブラジリアン2人放送時間の迫る編集スタッフの心中を思うと「早よ、上がれ!」と言いたくなる。開始早々、CB仕込みの回転の速いジダのスイングフックをJ.Z.が何発か喰らい、グラついた王者に、新星は猛ラッシュをかける。このまま新王者が決まるのか?と思えた次の瞬間、J.Z.は電光石火のタックルを決める。ジダも粘っていたが、跳ねのけ起き上がろうとして伸びた腕をJ.Z.が見事にキャッチして引き込み、回転しながらアームバーで決する。J.Z.はスタンド主体の選手だと思われがちだが、そもそもATT(BTT)の所属。グラウンドテクも相当なもの。総合メジャージム対決はATT(BTT)に軍配が上がった。3年前とは別人だ。
【大会総括】
 良くも悪くも、HERO'Sにとって分岐点となる大会だった。”冗談みたいない団体”と揶揄されてきたが、選手だけでなく、掲げていた”MMA ICON”として大会そのものも、日本の砦となって欲しい。事実、集客は前大会を遥かに凌いでいたし、ミーハーな女性客だけでなく、カードや参戦選手と共に再開されないPRIDEのファンも多く来場していた。だから、ココからが正念場である。質の良いコンテンツと注目を浴びるマッチメイク。この対極な事案を如何に両立するかで、HERO'Sに本当のHEROが生まれ来るだろう。しっかし、娘さんたちは、ワーキャーと元気にうるさい。まぁ、彼女達も今や大事なファンだ。ガマンがまん。
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