総合格闘技向上委員会ver.2.0 総合格闘技の歴史(後編) |
marc_nas 2004.03.09 |
ホイス・グレイシーが第一回UFCで圧倒的な力の差を見せつけ優勝した際に「グレイシー柔術は最強です。そして僕の兄ヒクソンは10倍強い」と言い放った。その言葉にすぐさま反応したのが初代タイガーマスクこと佐山聡と船木誠勝だった。
佐山は当時修斗を主宰しており、すぐに兄ヒクソン・グレイシーを招聘し「バーリ・トゥード・ジャパン94」なる大会を開催した。結果は慧舟会代表西良典、バド・スミスなどを下しヒクソンの優勝。続いて招聘した「バーリ・トゥード・ジャパン95」でも当時リングスの若手山本宜久(現高田道場)、当時SAWの木村浩一郎(現WJ労働組合)、当時修斗の中井祐樹(現パレストラ代表)を下し、またもや圧倒的優勝。
一方、船木は第一回UFCでホイスに敗れたケン・シャムロックと当時パンクラスで覇権争いをしていた。その船木もシャムロックと手を組みホイス対策を練り、第四回UFCでシャムロックのホイスとのリベンジでセコンドについた。結果は。。。30分時間切れドロー。ずっとグラウンドで膠着したまま極めさせず、当時ブレイクのなかったUFCのルールではドローとなったのだ。これは当時最強のホイスから奪った殊勲のドローとなった。その後、船木は引退試合として「コロシアム2000」で兄ヒクソンと戦うのだが、チョークスリーパーでオトされたのは運命的とでもいうべきか。
遅れて反応した高田信彦率いるUインターは懐刀の安生洋二(現WJ労働組合)をヒクソンの道場破りに送り込む。が、結果は。。。道場から出てきた安生の顔はボコボコになっており、その顔は週刊プロレスや週刊ゴングなどの表紙を飾り大きな波紋を呼んだ。その死合のVTRは関係者のみで見られヒクソンの強さを改めて認識したという。余談だが、NTV系の電波少年で松村邦洋もヒクソンの道場破りに向かったが、当のヒクソンは不在で息子の故ホクソン君(当時小学生)に本気でボコボコにされていた。この一件を見ても安生ボコボコ事件の波紋の大きさがわかるのではないだろうか。(そう考えるとWJの労働組合にはヒクソンと対戦した人間が二人もいたのか。)
時は流れ現在の総合格闘技はというと。。。極めの強い選手が勝ちを重ねることが難しくなってきた。現在総合格闘技界を席巻しているのはパウンドを得意とする選手達、パウンダーである。
pound【動詞】強く続けざまに打つ、突き砕く、粉砕する
つまりグラウンド状態における上からの打撃のこと。
パウンダー全盛になりつつあるのには理由がいくつかある。大きな理由の一つは関節技が研究され防御策が確立されてしまったこと。すなわちグラウンドでは、仕掛ける度に体力を消耗する関節技を何度もトライするより、打てば打つほどダメージを蓄積させることが出来るパウンドの方がより効率的となったのである。
他の要因としてはUFCなどの金網マッチでは、テイクダウンから金網に押しつけてパウンドされると逃れるのが非常に困難なのである。一方PRIDEでの要因はというと、マストシステム(ドロー裁定なしの優劣を必ずつけねばならないシステム)が大きく関係してくるのはないかと思える。マストシステムの問題点についてはいつか語るとして。。。判定になると関節技を受けた選手よりパウンドの打撃を受けた選手の方がダメージが大きくなる可能性の方が高く、判定では有利になってしまうのである。
昨今のパウンド全盛時代をボクは好ましく思わない。それは単純に極めの強い選手が好きだからだ。判定で殴り勝ちより、関節で『一本』を極める方が見てる方にも楽しく気持ちいい。サブミッションアーティストにはこれから受難の時代が続くかも知れないが、是非アントニオ・ホドリコ・ノゲイラや今成正和のような選手達にパウンダーを関節技でpound【粉砕】してほしいものだ。
昨年暮れに表面化したZERO-ONEとWJの抗争に決着をつけるべく、両団体のトップである橋本真也と長州力の一騎打ちが2月29日にZERO-ONE3周年記念興行のメインイベントで実現された。
結論から言ってしまおう。この戦いからは『なにも感じなかった』のだ。感動はもとより興奮すらも覚えることはなかった。11分8秒、2人のこれまでの経緯をリングで表現するには、あまりにも短すぎた試合時間であったこともさることながら、とても万全とは言えない2人のコンディションからもこのような結末は心のどこかで予想していたことだったのかもしれなかった。
ただ、ひとつ残ったものがある。『長州力は潰れなかった』という事実だけは残ったのだ。
試合自体は長州がリキラリアット、サソリ固め、雪崩式ブレンバスターなどを繰り出してペースを握っていたのだが、どの技にも『革命戦士』と呼ばれた以前の力強さを感じることはできなかった。一方、試合中に右肩の脱臼を悪化させた橋本は長州優勢に見られた展開を重爆キック1発で引っくり返しスリーカウントを奪ったのだが、そのあまりにもあっけない幕切れに会場全体は違和感に包まれたのだった。
なにごともなかったように自分の足で控え室へ消えて行く長州に対して、若手の肩を借りなければ起き上がることすらできなかった『破壊王』橋本。会場全体には『消化不良』という意識に統一された空気が漂ったが、それはむしろ長州よりも橋本へ対する『消化不良』ではなかったのだろうか。
もうこの2人の確執というものは薄れてきているのだろう。そもそもあれほど蔑んでいた橋本真也のZERO-ONEリングにあがること自体、長州にとっては屈辱とも言えるのではないだろうか。この試合のたった2日後には橋本と会談の場が設けられ、なんと今度は『ハッスル2』への参戦が表明されたのだった。長州の必死さが如実に表れているように思えるのだが、その必死さの度合いはWJの経営状態と反比例しているようにも感じられる。エンターテイメント路線を追求したハッスルに参戦せざるを得ない姿には悲壮感すら漂って見えるのは気のせいだろうか。
長州力が現役でいる限り、WJはプロレスで潰されることはないだろう。だがプロレス以外のなにかが原因でWJが崩壊してしまったとき、すべてをかなぐり捨てている長州力に一体なにが残るというのだろうか。
総合格闘技向上委員会ver.1.0 総合格闘技の歴史(前編) |
marc_nas 2004.02.22 |
どうも活字格闘王ことmarc_nasです。ボクの連載のコンセプトは格闘技ファンの拡大であり、ファンのみなさんの格闘技に対する目を養ってもらう。それが格闘技そのものの向上に繋がると考えています。今回と次回で総合格闘技の歴史を初心者の方にもわかりやすくカンタンに振り返ります。これを読んで格闘技の奥深さを知ってもらえば、PRIDEなどを観る時により面白く観れると思います。
紀元前、古代ギリシャの哲学者プラトンがギリシア兵達が闘うパンクラチオンという格闘技を見て「不完全なレスリングと不完全なボクシングの合体である」と言った。
93年にUFCで始まった総合格闘技。ある者はレスリング、ある者はボクシングと己の信じる格闘技体型こそ最強であると互いにしのぎを削りあった。そんな中、優勝したのはレスラーでもなくボクサーでもなかった。グレイシー柔術なる格闘技を習得するホイス・グレイシーであった。
極めというのは、関節技やチョークスリーパで一本(タップ)を取ることである。すなわち、極めが強いというのは、一本取る能力に長けているという事である。
当時のホイスはグラウンドでの極めが強かった。というより、皆が回避・防御方法に対してあまりに無知だったのである。グレイシー柔術はボクシングやレスリングのようにオーバグラウンドではなく、アンダーグラウンド格闘技だった。グレイシー一族が独自に考え出した柔術であるため、親族以外に教えを請う事もなければ、親族以外に教授する事もなかったのだから、他の格闘家達が初遭遇の動きに戸惑い、対処できなかったのは当然だった。
最初は皆そのグレイシー柔術を打ち負かすべく、己の心酔する格闘技を研磨した。しかしホイスはその後、幾度も優勝を重ね、無敗のまま95年UFCのリングから遠ざかっていった。そこから他の格闘家達はプライドをかなぐり捨て、柔術を研究し、そして自らの格闘技体型に取り込んでさえいくのであった。
つづく。。。
2003年の格信犯的流行語大賞「お前は男だ!」。ご存知、高田統括本部長の名言です。この名言のもとに毎回男をジャッジしようというのがこの連載の趣旨です。勿論、人によって"男"の定義は異なるかとは思いますが、格信犯の統括本部長である私MJが考える"男像"に最もふさわしい人を選びたいと思います。したがって試合に勝った選手や目だった選手が必ずしも選ばれるとは限りませんし、毎回該当者がいるとも限りません。今回は第一回目ということで昨年大晦日の格闘技戦争からの選考です。
一時は消滅の危機まで囁かれた猪木祭りですが、なんとか興行を行うことができたのはこのお方だからでしょう。まぁ今回ばかりは少し度が過ぎる一面もあったような気がします・・・。でもみなさんよく考えて下さい、猪木さんの行く道にはスキャンダル・不祥事はあたりまえのこと!それを見事なまでに逆利用して注目を集めるのが常套手段!興行的には大成功とは言えなかったかもしれませんが、決して格闘技界にとってマイナスなことばかりではなかったでしょう。数々の非常識発言やヒョードル引き抜き問題、さらにはカウントダウンでの大暴動も含め全てが猪木劇場、結局は許されてしまうんですよねぇ。
第一回はこれだけのマナー違反を推し進め、非常識を常識的に行うことが出来る人物はこの人しかいないということで
「猪木さんやはりあんたは男だ!!」
プロレスバカより愛を込めてプロレスってなんだ? |
28ん 2004.02.22 |
元気ですかー!プロレスって何でしょう?わかりません。とにかくこのコーナーで「プロレスってなんだろう?」という事を皆さんに発信していきたいなと思っています。私はあんまり知識ないですけど(謙遜含む)、おもしろおかしく記事かけます。これがプロレスラー的ライターです。意味わかりますか?これ大事な定義なんで、おさえておいてください。
今年はプロレスラーに総合のリングで活躍してもらいたいなと心より思っています。まずそこいらへんで一般の方にレスラー自身もアピールしていただかないと、私の理論が遠吠えとなってしまいますので、共にがんばりましょー!!あと、プロレスラーを名のってはいるけど,プロレスラーではない方もいます。類似品にはお気をつけ下さい。山本宣久さんあなたですよ。他にもいますけど。。。
高田延彦さん。あなたは統括本部長というよりも営業本部長ですね。泣き虫よみましたが、PRIDEをよりリアルファイトだと意識付けし、集客を伸ばそうとしているようにしか感じませんでした。リングで負けつづけたあなたの方が、リングを降りてから、勝者になろうとするあなたよりも100倍かっこよかった事を、プロレスラー高田延彦が好きだった私から告げておきましょう。
02.01 PRIDE.27@大阪の観戦記をお伝えします。おもしろかったです。ドスカラスJr.、あそこまで顔見えてるのにマスクかぶってるのが最高でした。プロレス万歳です。以上です。
テンポよく続いてまいりましたが、そろそろ最後の話題にうつりたいと思います。PRIDE無差別級GPと共にもう1つIWGPトーナメントも注目していきましょう。これ必須事項です。
とにかく、時には明るく楽しく、時にはシビアにプロレス的発想で記事を書いていきますのでよろしくお願いします。今回の記事は,初回なんでこんなもんで。一口目から旨いもんは胸焼けしますんでね、薄口に仕上げております。毎回青コーナーから望む所存でございます。それじゃ、3、2、1、どすこい!!!